エッセイ2『子どものチカラ引き出す源』
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新聞掲載:2006/2/17 沖縄タイムス 【第2回目】
テーマ:子どものチカラ引き出す源

 キャリア教育の成果を表すキーワードに、「五感を使って体験する」「仕事の楽しさや厳しさを知る」というものがあります。今回、那覇市立城西小学校で五年生が取り組んだキャリア教育では、沖縄の伝統工芸品の一つである紅型作りの実践体験に挑戦してもらいました。
紅型職人と児童を直(じか)に触れ合わせ、紅型作りの全工程を十一歳の子ども自身に体験させるという初の試みでした。例えば、単に好きなデザインを描くというこれまでのスタイルを変えて、ニーズ調査を基に描いてもらったデザインは、実にさまざまな特徴がありました。そのデザインを基に糊(のり)置きをして色刺しや隈取りをするという約一カ月間かけての製作は、今振り返ると本当に長い長い本格的な体験学習だったように思えます。
 五年生にはちょっと大変かなと心配していた私ですが、意外にも子どもたちの取り組む姿勢は毎回真剣そのもので、難しく大変な作業を楽しんでいる表情が非常に印象的でした。
 そして、長時間かけて作った紅型作品が完成した時、「やったー!できた」「すごくうれしい!」という予想通りの反応がありました。その一方で、「少し寂しい」「次にやる時はもっといいものを作るぞ」という意外な声を耳にしたのです。
 私は「たった今長い作業が終わったにもかかわらず、なぜ先の話を?」と複雑な気持ちでいましたが、しばらくしてハッとしました。仕事の理解と達成感を得ることをこのプログラムの重要な目標としてきましたが、児童はその目標を超えてすでに「新たに挑戦する意欲」という意志を表現していました。
 学びの場を与えられただけの中で自ら成長しようとする児童のチカラは、私たち大人の想像をはるかに超えていると感じた瞬間でもありました。
 本来子どもは自ら成長しようとする大きなチカラを持っていると思います。その小さな芽をつぶさないように、小さな芽を育てるためのサポートができるキャリア教育の可能性を垣間見た紅型完成の日の出来事でした。
 (オーシャン・トゥエンティワン主任研究員)

第1回目:ビジネスの流れ体験で成果
第2回目:子どものチカラ引き出す源
第3回目:時代に合わせた教育を  
第4回目:「育てる活動」の充実  
第5回目:成長させる視点が重要  
第6回目:家庭での体験最高の教育 

お知らせ
2007/5/14 社員ブログ「YUKIRINAのキャリア教育」を配信開始しました
全国で導入されつつある「キャリア教育」。 経済産業省の委託を受け、『教育から日本を元気にしよう!!』と沖縄中を走り回る-YUKIRINA-が、キャリア教育コーディネーターの日々をお伝えします。。 その名も、沖縄発!!地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト。

さらに詳しく

キャリア教育のHP (2006/6/12 update)
 経済産業省委託事業「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」の公式HPです。
 キャリア教育プロジェクト→ http://www.career-edu.jp